・スタッフ体験レポート
今回は、ポルタスタッフが参加した講演会の体験レポートです。
先日、名古屋市精神障害者家族交流事業の一環として行われている「こころの健康を願う家族と市民のつどい 晴れときどき虹」に参加しました。
「町から精神科病院をなくしたら患者はどうなった?」という題名で、愛媛県愛南町で実践された御荘診療所所長精神科医の長野敏弘氏の講演がありました。スタッフが心に残ったことを、体験レポートとしてご紹介したいと思います。
・「精神科病床をなくす」という目標
長野氏は愛媛県愛南町にて1970年代の精神障害者支援に端を発した地域活動に参画。
地域起こしの活動を続ける中で2006年にはNPO法人ハートinハートなんぐん市場を様々な立場の仲間と設立、観光業、農林水産業などにも取り組み続け、多様な方々による地域づくりを試みています。2016年には149床あった精神科病床を閉鎖しています。
活動開始当初は精神科病床をなくすという目標は到底成し遂げることのできないものだと思っていたそうです。それが、地域での活動をしていくうちに、これは不可能ではないかもしれないと感じ、少しずつ病床を減らしていき、遂には病床をなくすことができたそうです。地域では、24時間365日対応の看護小規模多機能型居宅介護事業所をたちあげ、安心して暮らしていける街づくりのために奮闘されてみえます。
・無意識に沁みつく差別について
講演の中で、ある利用者さんの話が出ました。よく「障がい者とともに生きる」と言われるけど、「ともに」という言葉自体が差別なのではないかとその利用者さんはおっしゃったそうです。その話を聞いて今まで気づかなかった視点を教えられました。
そもそも「ともに」の言葉は健常者と障がい者を区別していることからくる発想です。長年しみついた偏見や差別は知らないうちに心を侵食しているのだと強く思います。「男なら泣くな」とか「女は家にいるべきだ」など数え上げたらキリがありません。
日本では、車いすの方が外出するとなると様々な壁がありますが、諸外国では障害を持っている方も外出が当たり前にできるようになっているところも多く、アメリカの卒業式では当たり前のように車いすの方が列席されていました。
差別のない世の中を願っていますが、自分でも気づかない無意識の世界に沁みついている考えがあるのだと強く感じました。自分ができることはすごく微々たることですが、心の奥にある意識に気づいていけるようになりたいです。