不眠の対処法
「なかなか寝つけない」、「寝ても何度も目が覚めてしまう」など、睡眠についてお困りではないでしょうか?睡眠時間が短くなったり、睡眠の質が低下したりすることで日常生活において支障をきたすこともあります。今回は不眠についてお困りの方に向けた情報をお伝えします。
目次
●睡眠障害とは?
●睡眠不足によって起きる問題
●睡眠障害を改善するには?
●まとめ
●睡眠障害とは
睡眠に関する診断として「睡眠障害」というものがあります。厚生労働省によると、睡眠障害とは、「睡眠に関連した多種多様な病気の総称。大きく分類すると、不眠症・過眠症・睡眠時随伴症がある。」とされています。
睡眠障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
睡眠障害の中でも多いのが、不眠症です。不眠症とは入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感、意欲低下、集中力低下、食欲低下などの不良が出現する病気です。
不眠症のタイプ
入眠障害:布団に入ってもなかなか寝つけない。寝つくまでに2時間以上かかる。
中途覚醒:眠りが浅く、途中で何度も目が覚める。高齢になると多く見られる。
早朝覚醒:朝、望む時刻より2時間以上早く目が覚めてしまい、眠りたいのに眠れない。
熟眠障害:睡眠時間の割には朝起きたときにぐっすり眠れたという満足感が得られない。
●睡眠不足によって起こる問題
・精神機能の低下
熟睡できない期間が続くと、疲労がとれず、日中の眠気や意欲の低下、記憶力の低下など精神機能の低下を引き起こすことがあります。日中ぼーっとしてミスが増える、気分が沈みがちになる、些細な刺激に反応して怒りっぽくなるなどの症状がみられやすくなります。職場や学校、対人関係などでミスやトラブルが起こりやすくなります。
・生活習慣病のリスク
体内のホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼすことがあります。睡眠不足になることで、ホルモン分泌に影響し、食欲が増大する傾向があります。他にも慢性的な寝不足状態にある人は糖尿病や心筋梗塞・狭心症などの冠動脈疾患といった生活習慣病にかかりやすくなることがわかっています。
●睡眠障害を改善するには?
就寝・起床時間を一定にする:睡眠–覚醒は体内時計で調整されています。夜更かしや寝坊、昼寝のしすぎなどは体内時計を乱すので注意が必要です。終末に夜更かしをしたり、寝だめをしたりすると体内のリズムが乱れやすくなります。平日・終末にかかわらず同じ時刻に就寝、起床することが大切です。
適度の運動をする:ほどよい肉体的疲労は心地よい眠りを生み出してくれます。運動は午前よりも午後に軽く汗ばむ程度の運動をするのがよいようです。汗ばむ程度の運動を30分~1時間程度行うとよいでしょう。厳しい運動は刺激となり、寝つきを悪くするため逆効果です。短時間の集中的な運動よりも、負担にならない程度の有酸素運動を長時間継続することが効果的です。
太陽光を浴びる:太陽光などの強い光は体内時計を調整する働きがあります。光を浴びてから14時間目以降に眠気が生じてきます。そのため早朝に光を浴びると夜寝つく時間が早くなります。スマホやパソコンなど夜に照明を浴びすぎると体内時計が遅れて早起きがしにくくなります。
寝る前のリラックスタイム:副交感神経を活発にさせることがよい睡眠には大切です。40度前後のぬるめのお風呂にゆっくり入ることや好きな音楽を聞く、読書をするなどでリラックスする時間をとって心身の緊張をほぐしましょう。
自分流のストレス解消法をもつ:ストレスは眠りにとって大敵です。音楽、読書、スポーツ、旅行など自分に合った趣味を見つけて上手に気分転換をはかり、ストレスをためないようにしましょう。
食事・飲酒:夕食は最低でも寝る2時間前には終わらせ、腹八分目を守りましょう。夕食後のカフェインは寝つきを悪くしたり、熟睡の妨げとなったりする可能性があります。また、寝酒をすると一時的に眠りやすくなるように感じるかもしれませんが、効果は長続きしません。飲酒後は深い睡眠が減り、早朝覚醒が増えてきます。不眠の対処としてお酒を使ってはいけません。
睡眠時間にこだわらない:睡眠時間は個人差があり、何時間眠りたいと目標を立てる必要はありません。眠気がないときには、寝床から出てしまってもかまいません。寝床にいる時間が長すぎると熟眠感が減ってしまいます。あまり眠れず、日中に眠気があるときは30分以内の昼寝をするとよいでしょう。
眠れないことを気にしない
今日も眠れないと思うほど不安になり、「早く眠らないと」と焦れば焦るほど目が冴えてしまう。不眠が続くうちに寝床に向かうだけで緊張してしまい、夜になるのが憂鬱担ってきます。そのようなときは、「どうせいつかは眠くなるのだから、眠くなるまで起きていよう」くらいに割り切った方がよい効果をもたらします。
●まとめ
いかがでしたか。睡眠で気になっていたことは解決したでしょうか。不眠について調べるといろいろな情報が出てきます。ご自身で対処方法を見つけ、試してみてもなかなか効果が見られないこともあるかもしれません。
不眠の原因はストレスや心・身体の病気など様々あり、ご自身での対処が難しいこともあるかと思います。専門そうした際には専門医に相談してみましょう。
うつ病とは
仕事や人間関係など様々なことから憂うつな気分が続いている、楽しめていたことが楽しくないと感じる、何事にもやる気がでないと感じていませんか?もしかしてうつ病かもしれないと感じている方のための情報をご紹介します。
目次
●うつ病とは?
●うつ病の原因は?
●うつ病のサイン
●うつ病の治療法
●まとめ
●うつ病とは?
うつ病は100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査報告があり、うつ病は決して珍しい病気ではありません。罹患率は女性の方が男性よりも1.6倍ほど高いと言われています。ライフステージに応じて、妊娠や出産、更年期などと関連の深いうつ状態には注意が必要です。女性の方がうつ病の罹患率は高いですが、性別に関わらず、子どもから大人まで誰しもうつ病に罹る可能性があります。
うつ病|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省 (mhlw.go.jp)によると、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があるそうです。
アメリカ精神医学会が発行している診断マニュアルであるDSM-5によると、以下の9項目のうち、①または②のいずれかを含む5つ以上の項目の症状が2週間以上継続されている場合にはうつ病である可能性が高いです。
①抑うつ的な気分がある
②興味関心・喜びの感情が目立って少なくなる
③急激に痩せる・太る/食べない・過食する
④眠れない/眠りすぎる
⑤気持ちが落ち着かずに行動し続ける/気持ちも体も動かせない
⑥疲れがやすい、やる気が出ない
⑦自分には価値がないと感じる
⑧落ち着いて考えられない/決められない
⑨死にたいと思う
ただし、これらの項目に当てはまればうつ病として診断できるというものではありません。上記の診断基準以外にも様々な観点から診断が下され、治療が必要と判断されれば治療を開始することになります。自己判断で納得するのではなく、気分の落ち込みやこれまでのように日々の活動が楽しめないなど様々な症状を感じている方は、一度精神科や心療内科を受診してみるとよいかもしれません。
●うつ病の原因は?
うつ病発症の原因は今のところはっきりとしたことはわかっていません。様々な説がありますが、感情や意欲に関連する脳の働きに不調が生じていると考えられます。うつ病の背景には、いじめやパワハラなどつらいできごとが指摘されることが多いですが、結婚や就職、引っ越しなど必ずしもつらいできごとではないことの後に発症することもあります。
●うつ病のサイン
うつ病のサインとしてみられるものでは、以下のようなものがあります。
・表情が暗い
・自分を責めてばかりいる
・涙もろくなった
・反応が遅い
・イライラや不安の感情のコントロールが効かないことがある
・落ち着かない
・飲酒量が増える
・体が重くて朝がつらい
・朝起きることがつらい、会社や学校にいけない
・やらないといけないことが手につかない、あるいはできない
・考え事をしていることが多く、ネガティブなことが頭から離れない
・自分が生きていることや生活していることへの意味を感じられない
・食欲がない
・性欲がない
・眠れない、過度に寝てしまう
・身体がだるい、疲れやすい
・頭痛や肩こり
・動悸
・胃の不快感、便秘や下痢
・めまい
・口が渇く など
これらのサインをご自身で感じられた場合には、専門家や周囲の人へ相談してみましょう。周りの方でこれらの項目に当てはまるような人がいる場合には、まずは話を受け止め、専門機関など信頼できる相談先を頼れるとよいでしょう。
●うつ病の治療法
休養をとること
うつ病の治療を考える前に、心身の休養がしっかりととれる環境を整えることが大切です。強いストレス源にさらされたままでは落ち着いた気持ちになることは困難です。ストレス源がはっきりしている場合はそうした環境から離れて過ごすことができるとよいでしょう。心身をゆっくりと休め、食事や睡眠が十分にとれる生活を送ります。
薬物療法
うつ病の治療法の一つが薬物療法です。主に使われる治療薬は抗うつ薬で、継続して服用することで効果を発揮します。すぐに効果が出るわけではないので、薬について不安に感じたり、抵抗感を感じたりする方もいるかもしれません。しかし、自分の判断で薬の量を調整したり、中断したりしてはいけません。薬を服用することへの不安感や抵抗感を感じている人もいるのではないでしょうか。そうしたときには、主治医に薬を服用することの不安感や抵抗感も相談しましょう。主治医とのコミュニケーションをとることは治療にとってとても大切なことです。自分の気持ちを伝えられるといいでしょう。
精神療法
精神療法には支持的精神療法と呼ばれる基本的な治療法に加えて、認知行動療法などより専門的な治療法があります。認知行動療法では自分の思考や考えを整理しながら、より適応的な考え方や行動をとることができるように話し合っていきます。
その他の治療法
その他のうつ病の治療法として高照度光療法、修正型電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激法などが用いられることもあります。
●まとめ
うつ病についてどのような症状があるのか、治療法はどのようなものがあるのかご紹介しました。うつ病の症状からの回復には、家族や職場など周囲からのサポートも重要です。まずは周囲に調子がよくないことを相談してみましょう。ご自身や周囲の方でうつ病を疑うような症状の方がいたら一人で抱え込まずに、精神科や心療内科など専門家に相談することも大切です。