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2023
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マインドフルネスってなに?

今回は「マインドフルネス」についてご紹介します。マインドフルネスという言葉は聞いたことあるでしょうか?近年では書籍やテレビなどでマインドフルネスが取り上げられることも増え、注目を集めています。ここではマインドフルネスとはどのようなものなのか、ご紹介します。

 

目次

・マインドフルネスとは?

・マインドフルネスの効果とは?

・マインドフルネスの注意点

・まとめ

 

マインドフルネスとは?

 マインドフルネスは「今この瞬間に、意図的に、価値判断をせずに注意を向ける」というものです。これを見て読むのをやめたくなりましたかね。これでは理解することが難しいので細かく分けていくと、今のこの瞬間意図的に価値判断をしないというのがポイントになります。

 

今この瞬間とは?

 私たちは過去のことを後悔したり、将来のことで心配や不安な気持ちになったりしています。「今日のご飯は何にしよう?」「ネットニュースでこんなのやってた。」など、何か目の前のことに取り組んでいる時でさえ、他のことに注意が向いてしまうものです。これは自然なことで、過去や将来のことを考えることは人間に備わった力です。しかし、過去や未来のことばかりにとらわれてしまうと、あれこれと後悔し続けたり、将来のことを心配し続けたりしてしまいます。そうすることで目の前のことに気持ちが向けられない状態になってしまうのです。マインドフルネスでは、今この瞬間に意識を向けていくことを大切にしています。今自分は何を考えているのか、自分の身体感覚などに気づいていきます。

意図的にとは?

 私たちは悩みや後悔をするとき、ふと頭をよぎる様々な考えがあります。ふと昨日の仕事のミスを思い出したり、あんなこと言わなければよかったと思ったりすることがあるかもしれません。意識して悩もう、後悔しようと思って考えている人は少ないのではないでしょうか。過去を振り返って考えたいときはいいでしょう。しかし、ふとした時にわいてくる様々な思考や感情に私たちはとらわれてしまいます。わいてくる感情や考えに飲み込まれることなく、自分が注意を向けたいものに意図的に注意を向けることがマインドフルネスでは大切です。

 

価値判断をしないとは?

 私たちは常に様々な判断をしています。テストで悪い点を取ったら「自分は出来損ないだ」と思ったり、受験で失敗すると「もう自分は思い通りの人生を送れない」と思ったりすることがあるかもしれません。テストの点数が低かった、受験に失敗したというのは事実かもしれません。しかし、そこから考えるものは何通りもあるものです。点数が悪くても「今回はうまくいかなかった」「苦手なところが見つかった」と思う人もいるかもしれません。多くの人はうまくいかないことがあったときにネガティブな判断をしてしまうでしょう。この判断をしないというのがマインドフルネスのポイントです。ポジティブに考えようというものではありません。事実と考えを切り離しておくことが大切です。事実に対して様々なネガティブな意味をつけていくことで、失敗した➡次もうまくいかないはずだ➡自分は落ちこぼれだ、とネガティブ思考の悪循環に陥ってしまうかもしれません。評価や判断をすることから少しとどまって、事実は事実としてとらえていきます。

体験から学ぶ

 マインドフルネスを理解するうえで言葉だけで理解するのは難しいかもしれません。マインドフルネスをしばらくの間実践してみることで、今この瞬間に注意を向ける、意図的に注意を向ける、価値判断をせずに注意を向けるということが分かるようになってくると思います。マインドフルネスは注意の向け方だけでなく、あるがままを受容するといった態度も重要です。興味を持った方は一度試してみてください。

 

 

●マインドフルネスの効果とは?

 マインドフルネスに関する研究は様々報告されており、マインドフルネスの瞑想をすることで、うつ病や不安症に対して有効性が確認されています。摂食障害や依存症などでは更なる検証が必要であるものの、有効性が示されています。ストレスの低減については効果があると報告されていますが、大学生を対象とした研究では効果が十分ではなかったものもあり、さらなる研究が必要とされています。

 職場でのマインドフルネスの実施では従業員のストレス、燃え尽き症候群、精神的苦痛、身体的不満を軽減し、仕事への意欲を高めるのに有益であるとされています。

 

 

マインドフルネスの注意点

 マインドフルネスについて検索すると、マインドフルネスは危険だというようなネット記事もみかけます。マインドフルネスの危険性や注意すべきことは何なのでしょうか?

独学で行う場合

 独学で行う場合は気をつけて行う必要があります。トレーニングを受けた人からの言葉がないため、自分の感覚で進んでいきます。マインドフルネスは自分自身への気づきを得ていくトレーニングですが、不安な気持ちやいらだちにとらわれ、瞑想中に抜け出せなくなってしまうことがあります。気づいて瞑想を中断したり、別のことに注意を向けることができればよいのですが、一人で行っている場合は難しいこともあります。特に心理的に課題を抱えている方は、一人で行うよりもインストラクターにみてもらいながらやるのがよいでしょう。

また、目的意識が強すぎることでマインドフルな態度を得ることが難しいこともあります。あるがままを受け止め、価値判断をしないことが大切ですが、何かを得ようとすればするほど、得られないことに対してネガティブな評価が伴ってしまいます。頑張りすぎてしまう状態でいるとなかなかマインドフルネスによる効果が十分に得られないかもしれません。

   

トラウマを抱えた方

 PTSDの診断の有無に限らず、逆境体験のある方は、インストラクターに事前に確認し、通院している方は主治医に尋ねてから行うのがよいでしょう。身体へ注意を向けることが多いので、過去の体験と身体感覚が結び付き、つらい体験をする可能性もあります。瞑想を中断したり、落ち着けるように導いてくれるような環境を用意しておくことが大切です。

 

●まとめ

 マインドフルネスは、近年注目され、さまざまな効果が報告されています。ストレスとなる場面は誰しも遭遇しうるもので、ネガティブな思考や感情に飲み込まれず、距離をとることができる力は、精神的な困難さを抱えているかどうかにかかわらず健康的な生活を送っている方にとっても役立つものだと思います。興味を持たれた方は試してみてください。

 

参考文献

Dexing Zhang, Eric KP Lee, Eva CW Mak, CY Ho, and Samuel YS Wong. (2021). Mindfulness-based interventions: an overall review. British Medical Bulletin. 138, 41-57.

Renée A. Scheepers, Helga Emke, Ronald M. Epstein, Kiki M. J. M. H. Lombarts. (2019). The impact of mindfulness-based interventions on doctors’ well-being and performance: A systematic review. Medical Education. 54(2), 138-149.

J.David Creswell. (2017). Mindfulness Interventions. Annual Review of Psychology. 68, 491-516.

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